2月23日発売予定のゲーム『NieR;Automata』BlackBoxEditionに同梱の長編、『NieR RepliCant Recollection(ゲシュタルト計画回想録)』の見本が到着しました。
ゲームの特典なので、書店に並ぶことはないのですが。んでもって、すでに予約が締め切られているので、現時点で「えー? そんなの出るの? 知らんかった」という方にはもはや入手手段がないのですが。
入手予定の方で、ニーアオートマタ公式生放送第二回を視聴してらっしゃらない方が本を開いた瞬間に、「げ! 何コレ!?」とビックリしないように、ちょこっとだけ予防線を張らせてください。
今回の長編はほぼ書き下ろしなのですが、1章だけ、再録があります。設定資料集収録の主人公ニーアの少年時代を描いた短編『赤ト黒』です。これが、今回、『少年ノ章』としてそのまま再録されてます。
ただ、この本、ゲームの同梱版だったので、短編の内容がCEROに引っかかってしまったんですよね……。過去に発売された設定資料集は書店流通するフツーの本だったので、何も問題はなかったんですが。
何が引っかかったかというと、孤児であるニーアが病気の妹ヨナの薬を買うためのお金をどうやって稼いだか、という部分です。CEROの規定では、これがNGとのことでした(そういう設定があることがわかるだけでもダメなんだそうです)。
なので、倫理規定に沿っての書き直しを要求されたわけですが、私はこれだけはやりたくなかったので、「再録しない」もしくは「当該箇所を伏せ字にする」という対処のどちらかで、とお願いしました。
倫理規定に沿って書き直すということは、「親のいない少年ニーアが病気の妹ヨナのために売春をした」という事実をねじ曲げることだからです。たとえ架空の世界の人物であっても、誰かの過去を「なかったことにする」なんて、私にはできません。
しかも、ニーアの過去については、設定資料集(あり得ないほど版を重ねたアレです)を買ったユーザーさん全員が共有している情報です。書き直しに応じてしまえば、この万単位の人数を裏切ることになります。
幸い、ディレクターのヨコオさんも書き直しには反対してくださったので、最悪のルートは回避できました。
で、最終的に選択されたルートが「当該箇所の完全な塗り潰し」だったのです。何しろ、「設定があるとわかるだけでもダメ」だったので、一部伏せ字どころではなく、ページまるごと塗り潰しとか、数行にわたって塗り潰しとか、まるで終戦直後の教科書のようになってしまいました。
とはいえ、今回の黒箱を予約した方の多くがすでに設定資料集を持ってらっしゃると思われるので(資料集の部数のほうが黒箱の予約数の何倍も多いので)、被害(?)は最小限におさまるんじゃないかなーと思ったのです。
が。公式生放送の第二回で、ヨコオさんがこの事実を暴露したところ、amazonで資料集が品切れになってしまったそうです……(汗)。
そんな曰く付きの長編ですが、黒箱予約したみなさま、どうぞよろしくお願いします。あの世界の「事実」だけで組み立てたストーリーです。