新美会vol.2
新宿高島屋の美術画廊に行きました。目的は、阪本トクロウさんの絵を見ること。
阪本トクロウさんは、拙作『明日の話はしない』のカバーに使われた「呼吸」という絵を描いた方。カバーの見本を目にした瞬間、「他の絵も見たい!」と思い、ソッコーで検索かけました。で、阪本さんのサイトにアップされた作品を見て、これまたソッコーで作品集を購入しました。
なんていうか、阪本さんの絵って、直線なのに曲線を内包しているような、冷たさと温かさが混ざり合っているような、何とも言えないニュートラルな印象があるんです。いや、ニュートラルじゃないな。ふたつの相反するものと等距離な感じ、緩衝地帯に立って正反対の風景を見ているような感じ……。穏やかな絵のようでいて、強烈に訴えかけてくるものがある絵、というか。その「訴えかけてくるもの」に思いっきりハートを鷲掴まれちゃったワケです。
そんな感じで、あんまりストライクゾーンだったもんで、担当編集者に「すごいよ、思いっきり私の好みの絵だったよ! ピンポイントで直撃されちゃったよ! 神だよ!」って言ったら、「そういう絵を選ぶのも装丁家の才能のうちだから」と、アッサリ返されました。
そういや、今回の文庫版『転落』でも、松木さんに「菜の花の写真を使いたい」って言われたとき、すごくビックリしたんだよね。なぜなら、『転落』はまず菜の花のエピソードありき、だったから。あのエピソードを思いついてなかったら、あの話は書かなかったかもしれない。もちろん、松木さんはこのことを知らないし(担当さんにも話したことないし)、話の展開にはほとんど影響しない小さなエピソードだし、よく「菜の花の写真」に辿り着いたなあ、と。やっぱ、装丁家の方々って、ちょっと特殊な能力を持ってるのかも。
まあ、それはさておき。阪本さんの絵の話です。
高島屋の美術画廊でのグループ展、私、初日に一度見に行ってるんですよ。ところが、平日の午前中だったこともあって、私以外にだーれもいなくて。いや、だーれもいなかったわけじゃなく、スタッフの女性が3人。そりゃもう、にこやかに声をかけられました。接客態度としては特Aクラスだったんですが、店員に話しかけられるのが何よりもニガテな私。いつもだったら、「ごごごごごごめんなさーい!」と脱兎の如く逃げ出してるトコです。
でも、そこには、一度でいいから実物を見たいと思っていた絵があって。もう必死で踏みとどまりました。
いやもう、魔人エンカウント状態ですよ。「ここに踏みとどまりますか?」「はい」「本当に踏みとどまりますか?」「はい」みたいな。王国のメノラー揺れまくり!
まあ、そういう次第で、最終日までにリベンジっつーか、もう一度落ち着いて見たいな、と思っていたのでした。
今日も平日でしたが、少し遅めの時間帯を狙ったので、私以外にもお客さんがいました。スタッフの人数も、なぜか今日は一人。おかげで、ゆっくりじっくり見てくることができました。メノラーの炎も揺れなかったしな(←わかるヒトにしかわからないネタでスミマセン)。
参考までに。
阪本トクロウさんの公式サイト
http://homepage3.nifty.com/tokuro/
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